レオパルト(ドイツ戦車大隊)

レオパルト(ドイツ戦車大隊)

2012年3月30日 更新

童友社/DRAGON マイクロアーマーのシリーズ第13弾German panzer bataillonドイツ戦車大隊です。『ヨーロッパの標準戦車』と呼ばれるドイツの現用戦車レオパルト1レオパルト2、そしてMARS(日本の自衛隊やアメリカではMLRSがラインナップされています。スケールはマイクロアーマー共通の1/144。基本的にマイクロアーマーは非常に良くできているんですが、このシリーズのレオパルト1レオパルト2はチョッと…。後述しますが、特にレオパルト2は…。

なお、このシリーズのスペシャルである『レオパルト2A6 冬期迷彩』は所有しておりません。

レオパルト(ドイツ戦車大隊)

さて、レオパルト1レオパルト2も『ヨーロッパの標準戦車』どころか、西側(死語か?)の標準戦車と言っても過言ではないほど、多数の国で運用されています。それだけ優秀だということなんですが、そんな凄い戦車の開発にあのポルシェが一枚咬んでいるという事実はあまり知られていないようです。戦車が好きな人間にとって、「ポルシェ」と聞いて真っ先に思いつくのは『ル・マン』でも『サーキットの狼』でもなく第2次大戦中のティーガーでしょうが、今でもポルシェは戦車開発に関係しています。

そのポルシェも参加してドイツとフランスは戦車の共同開発を始めますが、お互いの意見が折り合わずに頓挫。結局ドイツもフランスも独自に戦車を開発することになりますが、そこで誕生したのがここでご紹介するレオパルト1。ネーミングはドイツ戦車の伝統と言うか決まりと言うか、ネコ科の動物の名前からレオパルト(豹)と名付けられました。念のため書いておきますが、完成当初は単なるレオパルトで、レオパルト2が正式採用されてから、レオパルト1と改称されたわけですな。ちなみに、この時にフランスが開発した戦車AMX30です。

レオパルト1

レオパルト1に続く次期主力戦車は、今度はアメリカとの共同開発。ところが、またまた計画は頓挫。そんでもってポルシェの企画をベースにしてドイツが独自に開発した戦車が、レオパルト2です。この時…というか紆余曲折のあとにアメリカが開発したのがM1エイブラムスです。

このレオパルト2にはいろいろな特徴があるんですが、外見上まず目を引くのが、それまでの戦車の常識でもあった避弾経始を無視したかのような側面が垂直に切り立った角張った箱みたいな砲塔。もちろん単純に「この方がカッコ良くね?」ってことでこんな形になったわけではなく、ちゃんと理由があります。

  • ・成形炸薬弾対策の複合装甲の採用(曲面に加工しにくい)
  • APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)に対しては、避弾経始なんてほとんど意味がない。
  • ・角ばった箱型の方が内部容積を多くできる。

などの理由から、あんな形になっちゃったんですな。陸上自衛隊の90式戦車もほぼ同様。

攻撃面では、主砲に120mm滑腔砲を採用したことが特徴です。滑腔砲を装備したのは西側で初めて。ちなみにM1エイブラムスの当初の主砲は105mmライフル砲。そしてレオパルト2は機動力も抜群。これらの120mmクラスの主砲・レオパルト2並みの機動力・また前述した複合装甲を使用しているということが、おおよそ第3世代戦車の条件と考えていいでしょう。つまり、レオパルト2は『ヨーロッパの標準戦車』どころか、第3世代戦車の基準となってしまったわけですね。

そして現在。冷戦が終結したため、ドイツ本国をはじめ、レオパルト2を所有していた各国ではそれほど多くの主力戦車が必要ではなくなってしまいました、そこで、中古のレオパルト2が安価に輸出されることになり、今やドイツ本国を含む10数カ国がレオパルト2を保有しています。なお、レオパルト1もまだまだ現役で使用している国もあります。

レオパルト2

レオパルト1A4 第304戦車大隊 第3中隊

最新更新日:2012年3月30日

レオパルト1A4

数々の改良を繰り返して、様々なマイナーチェンジ版のあるレオパルト1ですが、レオパルト1A3からはそれまでの鋳造砲塔からスペースドアーマー(中空装甲)を導入した溶接砲塔が採用されています。そのレオパルト1A3に新型のFCS(射撃統制装置)の搭載を始めとする改良が施されて生産されたものがレオパルト1A4です。

主砲は、レオパルト1はすべて51口径105mmライフル砲。こいつはイギリス製のL7という、西側の第2世代戦車の標準装備(陸上自衛隊の74式戦車も搭載)となった大ベストセラーのライフル砲の改良型で、L7A3というタイプ。ドイツで搭載していた砲弾はAPDS(装弾筒付徹甲弾)や粘着榴弾HESHなど。もちろん、その他の弾種も発射可能。

  • レオパルト1A4 1
  • レオパルト1A4 2
  • レオパルト1A4 3
  • レオパルト1A4 4

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レオパルト1A5 第1戦車偵察大隊 第3中隊

最新更新日:2012年3月30日

レオパルト1A5

実はこのレオパルト1A5は新規に生産されたのではなく、既存のレオパルト1A1レオパルト1A1A1(いずれも既存のレオパルト1の改造後の名称)に新型のFCS(射撃統制装置)の装備や射撃関連装備の更新などの改造を施したものです。なので、前述のレオパルト1A4とは異なり、砲塔は旧式の鋳造構造のままです。ただし、増加装甲が車体・砲塔・防盾に装備されています。これらは中空状態になるように装備することで、スペースドアーマー的な役割を果たします。

この増加装甲が上記レオパルト1A4との外観上の大きな違いなんですが、フィギュアは何となく亀みたいです。また、砲塔だけはずすと、NATO迷彩と相まって虫っぽく見えちゃいます。

  • レオパルト1A5 1
  • レオパルト1A5 2
  • レオパルト1A5 3
  • レオパルト1A5 4

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レオパルト2A4 第214戦車大隊 第1中隊

最新更新日:2012年3月30日

レオパルト2A4

小生と同世代の人間にとって『レオパルト2』と言えば、やっぱりこのレオパルト2A4でしょう。避弾経始を重視して丸みを帯びた同世代の戦車の中で、ひときわ異彩を放っていたのがこのレオパルト2A4の角張った箱形砲塔です。昔は「タイガーI の再来か!?」なんて思ったりしたものです。ま、なんで角張った箱形砲塔なのかってのは前述した通りで、設計者は別にティーガーI を意識したわけではない…と思います。

このレオパルト2のもう1つの大きな特徴が、ラインメタル社製44口径120mm滑腔砲です。滑腔砲の説明は割愛しますが、この戦車砲は事実上西側の主力戦車の標準装備となってしまいました。我が国の自衛隊でも、ライセンス生産したものが90式戦車や最新鋭の10式戦車に搭載されています。アメリカのM1エイブラムスも同様。イスラエルのメルカバやイタリアのアリエテは独自開発の120mm滑腔砲ですが、砲弾には互換性を持たせてあります。ラインメタル製かどうかは別にして、西側の主力戦車で120mm滑腔砲を装備していないのはイギリスのチャレンジャー2くらい。

なお、レオパルト2も様々なマイナーチェンジを経てこのレオパルト2A4にたどり着いていますが、その後既存のレオパルト2も全てこのA4仕様に改修されています。

で、フィギュアの方なんですが、なぜかこいつだけ冬期迷彩(スペシャルのレオパルト2A6もそうですが)。中途半端に白い部分があるので、写真の撮りづらいことったらありゃしない。おかげで、何十枚もこいつの写真を撮るハメになっちゃいましたよorz

  • レオパルト2A4 1
  • レオパルト2A4 2
  • レオパルト2A4 3
  • レオパルト2A4 4

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レオパルト2A5 第33戦車大隊 第3中隊

最新更新日:2012年3月30日

レオパルト2A5

レオパルト2A4(と、同仕様の改修車輛)KWSII という防御力と索敵能力の向上のための改修を施したものがレオパルト2A5です。具体的にはショト装甲(隔壁装甲)という楔形の増加装甲を砲塔の前面と側面の前部に増設・赤外線暗視装置を内蔵した新型の車長用全周視察装置の装備(画像の砲塔上部の円筒形のヤツ)・砲塔の駆動方式を電動式に変更など。

このうち、外観がレオパルト2A4から大きく変化したのが砲塔への増加装甲の増設です。その形状から避弾経始のための装備と思われがちですが、実際には中空装甲(のような)の構造になっていて、主に成形炸薬弾対策の装備です。もちろん撤甲弾などの運動エネルギー弾に対しても、ある程度の防御力の向上は期待できますが、それは避弾経始によるものではなくて中空装甲(スペースドアーマー)の効果によるものだと考えられています。

これらの改修によって、防御力と索敵能力や射撃能力が向上していますが、当然のことながら重量は増大しています。ま、4トンほどの増加なので、機動性には特に問題はなさそうですが。

  • レオパルト2A5 1
  • レオパルト2A5 2
  • レオパルト2A5 3
  • レオパルト2A5 4

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レオパルト2A6 第403戦車大隊 第3中隊

最新更新日:2012年3月30日

レオパルト2A6

上記レオパルト2A5KWSという改修を施したタイプ。これは、主砲の120mm滑腔砲をそれまでの44口径から55口径に換装する武装強化プランで、攻撃力が大幅に向上しています。基本的に大砲は、砲身が長くなると砲弾の初速が上がって、射程距離や運動エネルギー弾(撤甲弾など)の破壊力(装甲貫徹力)が増加します。ただし、砲身はやたらと長くすればいいわけではなくて、長くなれば当然砲弾が砲の内壁から受ける摩擦が増えるので、長くし過ぎると逆に砲弾の初速が遅くなる場合があります。また、砲自体が重くなりますし、取り回しがしづらくなるというデメリットもあります。

何はともあれ、レオパルト2A6の55口径120mm滑腔砲は、ラインメタル社製の新型砲弾とも相まって、破壊力(装甲貫徹力)だけなら現在(2012年現在)世界最強だと考えられます。

ちなみに、戦車の主砲に限らず「◯◯口径□□mm砲」という場合の『口径』というのは口径長のことで、砲身が砲の内径の何倍であるかを表します。つまり、44口径長から55口径長になると、砲身の長さが120mm×11長くなったということになります。まぁ、実物のレオパルト2A6は砲身が1.3mくらい長くなったってわけですが、フィギュアでもちゃんと長くなっています。

  • レオパルト2A6 1
  • レオパルト2A6 2
  • レオパルト2A6 3
  • レオパルト2A6 4

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MARS 第12ロケット砲兵大隊 第1中隊

最新更新日:2012年3月30日

MARS

MARSというのはドイツでの名称で、日本やアメリカではMLRSと呼ばれている自走多連装ロケット砲システムのことです。アメリカで開発されたもので、車体はM2ブラッドレーをベースにしていて乗員は3名。ロケットランチャーは227mmロケット弾を12発搭載。こいつを一斉(厳密には約5秒間隔)に発射して面制圧を狙う後方支援兵器です。フィギュアの方は、このロケットランチャー部分が可動して発射体制をとることができます。

で、なんで戦車ではなく支援車輛であるMARSがこのマイクロアーマーの『現用ドイツ戦車』シリーズにラインナップされているかってぇと、たぶんドイツもこいつの開発と生産に一枚咬んでいるからでしょう。それはMARSMLRSで使用する、AT2という対戦車地雷散布型ロケット弾です。28発の対戦車地雷を文字通り散布する弾頭です。なお、MARSMLRSが使用する基本的なロケット弾であるM26は、644発(!)もの子爆弾を広域に散布するもので、面制圧という観点からすれば、その攻撃力は凄まじいの一言ですな。

  • MARS  1
  • MARS 2
  • MARS 3
  • MARS 4

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レオパルト(ドイツ戦車大隊)のフィギュアの問題点

プラモデル部部長のサイドワインダー零式は、完成品のフィギュアに対して、ああだこうだとケチをつけるのは基本的に好きではありませんが、万が一このページを見て「マイクロアーマーレオパルトを買ってみよう」なんて思う方がいるとアレなので、いちおうこのシリーズの問題点を記述しておきます。

こまかい造形に関して何かを言うつもりはありませんが、問題なのは全体の印象です。レオパルト1ではあまり気になりませんが、レオパルト2は車幅が狭くて車高が高く見えます。小生も実車を見たことがあるわけではありませんので、あくまで写真などから受ける印象と比較しての話です。写真から受ける印象では、かなり低平な車体と砲塔の平べったいイメージがあるんですが、このシリーズのフィギュアではそれが再現されていません。特にレオパルト2A5レオパルト2A6は、その形状から砲塔がやたらとブ厚く見えちゃいます。

まぁ、これは「こういうもんなんだ」という納得ができなくもないんですが、どうしても気に入らない大きな問題点が、無限軌道の設置位置が内側過ぎること。これは、どう見ても実車がそうなっているハズがないほど内側にくっついちゃっています。なので、ド正面から見るとチョッとおおげさですが逆三角形ボディになっちゃってるんですよね。これはレオパルト1レオパルト2も同じですが、特に各レオパルト2では気になっちゃいます。

このページに掲載している画像のように、斜め上方向から見る分には何ら問題ありませんが、正面から見るのはチョッとつらいものがあります。これからこのシリーズを買ってみようとお考えの方は、この点にご注意ください。

レオパルト(ドイツ戦車大隊)


なお、こちらに掲載したレオパルト(ドイツ戦車大隊)以外の童友社/DRAGON マイクロアーマーは下記を参照してください。


レオパルト(ドイツ戦車大隊)の その他の画像

レオパルト(ドイツ戦車大隊)

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