M2/M3ブラッドレー

M2/M3ブラッドレー

2012年5月7日 更新

童友社/DRAGON マイクロアーマーのシリーズ第9弾 M2/M3ブラッドレーです。ラインナップされているのはM2A2ブラッドレー歩兵戦闘車(IFVM3A2ブラッドレー騎兵戦闘車(CFV、そしてMLRSです。童友社のホームページでは『アメリカ現用戦車 M2/M3ブラッドレー』となっていますが、これはチとおかしい。正しくは『アメリカ現用歩兵戦闘車』では?まぁ「そもそも戦車とは何ぞや?」っていう定義によってくることですが、少なくともアメリカでは『戦車』とは呼ばずに『歩兵戦闘車』と呼んでいるので、『アメリカ現用歩兵戦闘車』が正解でしょう。

そのフィギュアですが、実際のM2A2ブラッドレー歩兵戦闘車(IFV)とM3A2ブラッドレー騎兵戦闘車(CFV)は、外観的には全く同一なので、言われないとどっちがどっちかよくわかりません。当然フィギュアの方もそう。見分けるには、装備(と言うかザックなどの荷物)TOWミサイルランチャーが発射状態にあるかどうかを覚えるしかありません。…と、思っていたんですが、実は少々形状が異なる部分があるようです。

M2/M3ブラッドレー

フィギュアでは、車体後部の上部にある兵員室の上部ハッチ部分(上記画像の赤マル部分)がM2とM3で微妙に異なります。実車もそうかどうかは知らんのですが、マイクロアーマーシリーズはいちいち芸が細かいので、実際そうなんでしょう。付属のチラシみたいな説明書には「外観はまったく同形状です」と断言されていますが…。

でもまぁ、いちおうこういったレビュー的なモノを書くにあたっては、やっぱりキッチリ調べるべきだと思い、探しまくってようやく見つけたのがこのサイト(英語のサイトです)。こちらに掲載されていらっしゃる写真を見る限り、確かにM3ブラッドレー(A2かどうかは不明)の兵員室上部ハッチの形状がM2A2ブラッドレーとは異なっていますね。フィギュア通りの形状。M2はもっと角カクした形状です。今まで、まったくの同形状だと思い込んでいたので、全然気付きませんでした。恥ずかしながらこのフィギュアで初めて知りました。

M2/M3ブラッドレー

実はもう1点気になるのが、車体中央右側のエンジングリル部分(上記画像の青マル部分)と、車体後部の両テールランプ付近のルーバー状のモノ(下記画像の青マル部分)。これはM2M3の違いというわけではなく、『M2A2』と『M2A2 ODS』の違いではないか?と考えられます。エンジングリル部分の箱みたいなヤツは排気管で、箱型になったのは確かODSから。また、車体後部のルーバー状のモノはCIP(敵味方識別パネル)なのか何なのよくわかりませんが、やはりODSからの装備(のハズ)です。

M2/M3ブラッドレー

つまり、商品名は『M2A2ブラッドレー』ですが、事実上『M2A2 ODS ブラッドレー』ではないでしょうか?パッケージにもチラシみたいな説明書にもDRAGONのサイトにも記述してありませんが、『M2A2 ODS ブラッドレー』だと思われます。もちろんM2A2のフィギュア2種類とも。ただし、これは小生の拙い情報量での判断ですので、もしかしたら単なる『A2』でもこういった車輛が存在しているのかもしれません。『A2』と『A2 ODS』ではもう少し外観の相違点があるような気がしますし…。いずれにせよ、このサイトでは商品名を尊重して『M2A2』と表記します。

M2/M3ブラッドレー

なお、このシリーズのスペシャル『M2A2ブラッドレー 第36歩兵連隊 第1大隊B中隊 ドイツ 1999年』は所持していません。また、マイクロアーマーの通し番号順には掲載していませんので、あしからず。

M2A2ブラッドレー 歩兵戦闘車

まずは「そもそも歩兵戦闘車って何よ?」って方のために、超簡単に歩兵戦闘車IFVについて説明しておきます。そこそこ攻撃力があって、少しはマシな防御力があって、主力戦車に追随できる機動力のある、歩兵を輸送するための車輛が歩兵戦闘車です。M2A2ブラッドレーの場合、歩兵は6名搭乗可能(A2以前のタイプは7名)。主な仕事は歩兵を運ぶことにあります。迅速に、前線に歩兵を展開させるための車輛ですな。主力戦車と行動を共にして、必要があれば歩兵部隊を展開する。あるいは、敵がいるかもしれない場所へ歩兵を運ぶことが主な役目です。

このような任務には、少し前までは装甲兵員輸送車APCが使用されていました(てか今でも現役で使用されています)。その前はトラックとか。が、装甲兵員輸送車APCには申し訳程度の武装(重機関銃程度)しかついていないので、ある程度装甲化された敵と遭遇してしまうと何もできなかったりします。また、歩兵を搭乗させているので、当然ながら攻撃目標にもなりますが、防御力は「トラックよりはマシ」といったレベル。「これじゃアカン」ってことで登場するのが歩兵戦闘車IFVです。

M2A2ブラッドレー

歩兵戦闘車は、戦車ほどではないにしろそこそこ攻撃力もあるので、敵と遭遇した際はそのまま戦闘に突入します。また、主力戦車に随伴するので戦車の支援も行います。つまり、積極的に戦闘に参加します。そんなM2A2ブラッドレーの主砲は25mm機関砲(チェーンガン)『ブッシュマスター』。25mmじゃそんなに威力がなさそうだと思われるかもしれませんが、実は相当な破壊力です。フツーの装甲車なら蜂の巣。戦車でも装甲の薄い背面などであれば貫通することもあるほど。

もっとも、対戦車戦闘であればTOW2対戦車ミサイルを使用することになります。M2ブラッドレーのランチャーは、砲塔の左側に連装タイプが起倒式で装備されています。こいつは発射する際には上方へ跳ね上がるもので、フィギュアでも発射状態と格納状態が再現(可動式ではなく固定式)されています。あとは主砲同軸で対人用の7.62mm機銃を装備。

これらのなかなか強烈な武装を駆使しながら、内部には武装した歩兵を乗せているので、総合的な戦力としてはかなり強力です。前述の通り、歩兵は6名搭乗可能。乗員は車長(コマンダー)・砲手(ガンナー)・操縦士(ドライバー)の3名。このうち、操縦士は基本ずっと乗ったままですが、車長もしくは砲手のどちらかは歩兵と共に下車戦闘に参加することがあります。つまり事実上の歩兵の数は7名。

また、M2ブラッドレーのA1以前のタイプにはガンポート(銃眼)が両側面各2基と後部に2基装備されていました。ガンポートというのは、車内から歩兵が小銃で攻撃するための穴で、黎明期の戦車にも装備されていました。歩兵の乗車戦闘が重要視されていたためについていた装備ですが、A1タイプ以降は両側面のものは塞がれています。当たり前ですが、A2タイプでもありません。思ったほど有効に使えないということと、ガンポートは装甲に開いた穴ですから、どうしても弱点になっちゃうので「いらね」ってことで廃止。これはM2ブラッドレーだけではなくて、最近の各国の歩兵戦闘車では同様の傾向にあるようです。FV510ウォーリアなどは最初からありません。自衛隊の89式装甲戦闘車では今でも健在ですが。

M2A2ブラッドレー

A2タイプとそれ以前のタイプとの違いですが、防御力が向上しています。車体正面と側面、そして砲塔に鋼製の増加装甲が施されています。フィギュアの表面がボコボコしてる部分ですな。なお、フィギュアでは再現されていませんが、この増加装甲にはさらにその上からオプションでリアクティブアーマー(爆発反応装甲)を装着可能。フィギュアの表面のボコボコは、このリアクティブアーマー装着用のボルト。こいつがA2タイプとそれ以前のタイプの外観上の大きな違いです。

また、外観からはわかりませんが、被弾した弾片や装甲内面の飛散防止用のスポール・ライナーが内部に増設されています。これらの装甲などを追加した分、当然重量が増えていますが、そこはエンジン出力の向上や足回りの強化で対応しています。ちなみにエンジン出力は、それまでの500馬力から600馬力へ向上しています。

M2A2ブラッドレー 第1機甲師団 第41歩兵連隊 第1大隊 バグダッド2003年

最新更新日:2012年5月7日

M2A2ブラッドレー 第1機甲師団 第41歩兵連隊 第1大隊 バグダッド 2003年

冒頭で触れたように、こいつは単なる『M2A2』ではなくて『M2A2 ODS』である可能性があります 。『ODS』というのは、有名な『Operation Desert Storm(砂漠の嵐作戦)』の略で、湾岸戦争時の戦訓を活かしたM2A2ブラッドレーの改良プランのことです。この改良が施された車輛が『M2A2 ODS ブラッドレー』と呼称されます。

改良されたのは、主に電子機器類。M1A2エイブラムスにも搭載されるIVIS(車両間情報システム)や、GPSやデジタルなんちゃらかんちゃらによる車輛航法システムやら対対戦車ミサイル用ソフトキル装備などなど、アメリカの大好きなハイテク三昧。ところが、フィギュアではこれらのハイテク機器の追加による外観の違いは再現されていないので、「こいつはM2A2 ODSだ!」とは言い切れなかったりしますorz

ちなみに、このM2A2ブラッドレーはイラク戦争時のモノですね。

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M2A2ブラッドレー 第5騎兵師団 第3大隊 A中隊 ボスニア1996年

最新更新日:2012年5月7日

M2A2ブラッドレー 第5騎兵師団 第1大隊 A中隊 ボスニア 1996年

M2A2ブラッドレーには乗員3名と歩兵6名が搭乗するのは前述した通りです。以前は、この1輌分の9名で機械化歩兵1個分隊を形成していたようですが、最近では少し編成が異なるようです。現在のアメリカでは通常4輌で1個小隊(3個分隊)として運用されるようで、4輌からそれぞれ6名の歩兵と3輌から車長ないしは砲手の計27名が下車します。そして9名ずつ3つの機械化歩兵分隊を形成するようです。

念のため書いておきますが、機械化歩兵といってもサイボーグなどの類いではありませんよ。現在のアメリカにはまだサイボーグ兵は存在しません…ってか、そういうことじゃなくて、歩兵戦闘車(IFV)などの車輛で移動する機動性のある歩兵のことを機械化歩兵と言います。

なお、サイドアーマーにある『IFOR』とは『Implementation Force』のことで、ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争の際にそこに展開していた平和維持部隊のことで、M1A1HAエイブラムス 第1機甲師団アパッチ中隊 北ボスニア仕様 1998年9月FV510ウォーリア ウォーセスター&シャーウッド森林連隊 NATO和平実施部隊と同様です。

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M2A2ブラッドレー

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M3A2ブラッドレー 騎兵戦闘車

M2ブラッドレーをチョッぴり改修したのがM3ブラッドレー騎兵戦闘車CFVです。騎兵戦闘車CFVというのは、歩兵のかわりに馬をのせて…って車輛じゃありませんよ。アメリカ独自の呼び方で、他の国では偵察戦闘車RCVと呼ばれる種類の車輛です。自衛隊の87式偵察警戒車とか。文字通り主任務は偵察です。

M3A2ブラッドレー

余談ですが、アメリカに限らず、現在でもいろんな国に『騎兵ナンじゃらカンじゃら』という名称の部隊名(第1騎兵師団とか竜騎兵連隊とか)がありますが、本当に馬が配備されていることはほとんどありません。配備されていたとしても儀杖目的であって、実戦目的ではありません。こういった名称の部隊は、ほとんどが慣例(あるいは伝統)的なものであったり名誉的な称号として『騎兵』を使っているだけで、現在では馬のかわり(?)に車輛やヘリを使用しています。

このM3ブラッドレー騎兵戦闘車CFVも同様のものです。ま、それはそれとして、こいつは前述した通り偵察を主任務とする車輛です。そのために、少しだけM2とは違います。冒頭で触れた兵員室上部ハッチの形状以外は、見た目は一緒。違うのは中身です。乗員が車長(コマンダー)・砲手(ガンナー)・操縦士(ドライバー)の3名なのは同じですが、搭乗する歩兵が歩兵戦闘車IFVバージョンの6名に対して偵察要員の2名だけ。そのかわり、連絡用のバイクなどを積み込みます。歩兵が搭乗しないので、当り前ですが必要ないのでM3には最初からガンポートはありません(厳密には塞いであります)

M3A2ブラッドレー

また威力偵察などの、より直接的な戦闘に参加することを想定して弾薬搭載量が2倍近く増やされています。主砲の25mm機関砲で900→1,500発、主砲同軸の7.62mmが2,200→4,400発、TOW2は7→12発って感じです。あとは無線装備などが追加されていますが、これらの中身以外は歩兵戦闘車IFVバージョンと同じ。A1からA2への変更点なども全く同じです。

M3A2ブラッドレー 第1機甲師団 第3旅団 バグダッド2003年

最新更新日:2012年5月7日

M3A2ブラッドレー 第1機甲師団 第3旅団 バグダッド 2003年

イラク戦争時の車輛で、TOW対戦車ミサイルランチャーの発射状態のフィギュアです。M3A2ブラッドレー(当然M2A2も)が装備しているのはTOW2で、TOWの改良型です。TOW2はタンデム弾頭になっていて、メインの弾頭の前に小型の弾頭が装備されています。目標が爆発反応装甲ERAなどを使用していた場合、この小型の弾頭が爆発反応装甲ERAを起動させて無効化してから、メインの弾頭が目標本体へ到達して効果を発揮するわけですな。

ただ、TOWは2になっても有線誘導方式で、いわゆる「撃ちっ放し」ではないため、着弾するまで誘導し続ける必要があります。誘導している間はろくな回避行動がとれないため、とっても危険です。ジャミングなどのソフトキルに対しては強いというメリットはありますが。

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M3A2ブラッドレー 第4騎兵師団 第1大隊 ドイツ2001年

最新更新日:2012年5月7日

M3A2ブラッドレー 第4騎兵師団 第1大隊 ドイツ 2001年

M3A2ブラッドレー騎兵戦闘車CFVの主な役割は偵察です。偵察と聞くと「なぁんだ、偵察かぁ」と思われる方もいらっしゃるでしょう。確かに、戦車などの正面攻撃戦力と較べると地味な印象があるのは確かです。しかし侮るなかれ!戦略的にも戦術的にも偵察というのはとぉっても重要なモノです。偵察を行って敵の情勢が把握できなければ、最強デジタル戦車もその威力を十分に発揮できません。補給も同様です。古くさい言い方をすれば「縁の下の力持ち」。

軍隊(この場合は陸軍)にとって、こういった重要な装備であるM3A2ブラッドレーですが、前述したように偵察任務には威力偵察も含まれています。威力偵察とは、実際に敵を攻撃してみて敵の戦力を探る偵察方法です。当然戦闘が発生しますが、目的は敵の殲滅ではなく敵の情報を収集することです。まぁ撃滅できるくらいの小規模な戦力であればともかく、フツーは「チョロっとちょっかいを出してすぐ逃げる」が基本です。結構ヤバい任務です。

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MLRS(M270自走発射機)

MLRSというのは『Multiple Launch Rocket System』の略で、日本では(日本語に訳すと)多連装ロケットシステムと呼ばれています。簡単に言っちゃうと、自走式のロケット弾ランチャーです。ただこれは通称というかシステム全体の名称で、フィギュアになっている車輛は、アメリカや日本での正式名称は『M270自走発射機』です。『M270自走発射機』は、車輛部分の『M993』とランチャー部分の『M269LLM』およびFCS(射撃統制装置)から構成されています。この他に発射するロケット弾なども含めた総称としてMLRSと呼ばれる場合がありますが、めんどくさいので、このサイトでは『M270自走発射機』のことを単体でもMLRSと呼んじゃいます。

それともう1点、このサイトでの決まり事を書いておきます。それはミサイルとロケット弾の違い。このサイトでは、ロケットエンジンないしはジェットエンジンで自己推進するものの内、誘導装置(ホーミング機能)付きのものをミサイルと呼びます。逆に誘導装置がないものは、2〜3の例外はありますがロケット弾と呼んでいます。ミサイルとロケット弾の区別の仕方はいろいろあるようで、この分け方が世界共通ってワケではないので、ご注意ください。

MLRS

で、この一見装軌車輛のトラックのようなMLRSはロケット弾を発射する車輛なわけですが、何でマイクロアーマーの『M2/M3ブラッドレー』のシリーズに含まれているかっつうと、こいつの車輛部分がM2/M3ブラッドレーをベースにして開発されているからでしょう。まったく同じものではありませんよ。MLRSには3名の乗員(車長・砲手・操縦手)以外に歩兵は搭乗できませんからね。

その乗員3名はトラックの運転席みたいな所に乗ります。そんでもって、後部の荷台のような所がランチャーです。ここに6発入りの227mmロケット弾ポッドを2個装備します。つまり計12発の227mmロケット弾を搭載。ロケット弾は約5秒間隔で発射できるので、1分間で12発を全弾発射できます。ロケット弾の最大の利点はこれです。大きな火力を短時間に集中投入できます。

ただし、ロケット弾というのは基本的に命中率なんてあってないようなもの。誘導装置が付いていれば話は別ですが、無誘導のロケット弾は銀玉鉄砲くらいの命中率しかありません。ピンポイント攻撃なんて絶望的にムリ。ある目標を狙って何発か撃っても、適当に着弾がバラけちゃって目標には命中しなかったりします。でも逆に言えば、これがロケット弾の運用上のメリットでもあります。

大きな火力を短時間に集中投入できて、弾着が適当にバラける。これは、ある程度の広範な地域を集中攻撃したい場合には都合が良いんですな。別の言い方をすると、面制圧向き。要は一定の地域に一斉に集中攻撃を仕掛けたい場合にはロケット弾の出番ってワケです。目標をピンポイントで精密に狙いたい場合や、継続的に攻撃したい場合はミサイルや榴弾砲などを使用します。

このようなロケット弾の命中率をカバーするため、MLRSで主に使用されるロケット弾のM26は、644個の子爆弾(M77)を内蔵しています。こいつが目標上空で散布されて、大雑把な目安でおおよそ200m×100mの範囲に降り注ぎます。なお、散布範囲はあくまで目安です。射距離によっても変わるし、自然条件によっても変動します。また、12発を一斉発射しても単純に散布範囲は12倍にはなりません。これは散布範囲が重なる部分があるためです。ま、12発を一斉発射すれば相当な範囲を絨毯爆撃できることには違いありませんが…。イラク的に言えば「鋼鉄の雨」。

MLRS

念のため書いておくと、我が国もMLRSを採用していますが、こういった子爆弾を搭載している弾頭はクラスター爆弾に分類されるため、日本の自衛隊では現在(2012年)M26ロケット弾は保有しておりません。改良型のM26A1では時限信管内蔵型の子爆弾(M85)を搭載しているので、不発弾の発生確率は大幅に減少していますが、日本はバカ正直にこの系統の弾頭は使わず、かわりに単弾頭のM31が配備されています。M31はGMLRSとも呼ばれていて、慣性誘導システムとGPSによる誘導装置付きのロケット弾で、精密攻撃が可能。地対地ミサイルに分類されることもあります。当サイト的にも本来は『ミサイル』と呼ぶべきですが、どうも『ミサイル』と呼ぶのも違和感があるので、そのままロケット弾と呼んでいます。

MLRS 第3歩兵師団 第39野戦砲兵連隊 第1大隊 イラク2003年

最新更新日:2012年5月7日

MLRS 第3歩兵師団 第39野戦砲兵連隊 第1大隊 イラク 2003年

イラク戦争時のMLRSです。基本的には、こいつは自走式ロケット弾ランチャーですが、発射できるのはロケット弾だけではありません。ATACMS(正式名称はMGM-140)という地対地ミサイルも発射できます。この場合のMLRSへの装填数は2発。装填されているコンテナはロケット弾ポッドのものと同じような蓋がついているので、よほど近くに行かないとATACMSなのかロケット弾を搭載しているのか判別がつかないそうです。もしかしたら、このフィギュアはATACMSを装備しているのかもしれませんが、はてさて…。

このATACMSの弾頭はいろいろありますが、湾岸戦争で使われたものは子爆弾(M74)を950個搭載したタイプ。なお、子爆弾の搭載量を275個に減らして射程距離を伸ばしたタイプもあるので、イラク戦争で使われたのはこっちかもしれませんが、その辺は小生にはよくわかりませんので、興味のある方は調べてみてください。で、わかったら小生にも教えてください。

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MLRS 第1機甲師団 第94野戦砲兵連隊 ドイツ1999年

最新更新日:2012年5月7日

MLRS 第1機甲師団 第94野戦砲兵連隊 ドイツ 1999年

ドイツに配備されているアメリカ軍の車輛です。MLRSは、本来ソ連(現ロシア)およびワルシャワ条約機構(現在は存在しません)軍の侵攻に対抗するために開発されたものです。マイクロアーマーシリーズに、よくドイツに配備されている車輛がラインナップされているのは、この東側の戦車師団が侵攻してきた場合の最前線がドイツ(当時の西ドイツ)だと想定されていたため、ドイツに最新最強装備が優先して配備されていたからですね。

ちなみにフィギュアでは、ロケット弾ランチャー部分が可動して発射体制をとることができます。少々はずれやすいのが難点ですが、最接続は簡単にできます。MLRSを何輛か集めて「ロケット弾一斉発射!」みたいな妄想をして楽しむ(いささか不謹慎ですが)ことも可能です。

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MLRS

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なお、こちらに掲載したM2/M3 ブラッドレー以外の童友社/DRAGON マイクロアーマーは下記を参照してください。


M2/M3ブラッドレー の その他の画像

M2/M3ブラッドレー

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